「音圧」音響専門学校で勉強した音楽用語69
音圧(Sound pressure)
音の最大量にリミッティングをかけ、音に圧力をかけることをいいます。
文字通り、音を圧縮している状態のことですが、音楽の用語のなかでは「音圧を上げる」という使い方をします。
音量差が密集(みっしゅう)するため、迫力のある印象の音になります。
音圧を上げるために特化したエフェクト、プラグインにマキシマイザーというものがあります。
リミッターと同じ扱いをされますが、マキシマイザーというとリミッティングする効果よりも音圧を上げるというイメージの方が強いです。
音圧を上げる説明だけだとコンプレッサーと同じ効果のようにですが、用途は少し違います。
コンプレッサーは最大音量を圧縮率で音量を抑えて、アタック、リリースで積極的に波形を変形させながら音作りを追求していきます。
マキシマイザーはリミッティングの音量をスパッと決めて、そこに向けて圧縮して音量を上げていくという、音圧稼ぎに適したエフェクターです。
各トラックにかけて、すべての楽器の音圧をコントロールする方もいますが、マスターに挿して音圧を上げるという使い方をする人が多いです。
音圧戦争
音楽の歴史をたどると、CD全盛期の90年代のころ、有線(USEN)で音楽を聴くという方法がありました。
結構普及していて、レコード会社も有線には力を入れていました。
有線(USEN)とは、専用のチューナーを使って、たくさんの「音楽チャンネル」を聴くことができるという音楽の聴き方で、その時の流行っている歌なども流れたり90年代にいろんなお店に、活用されていました。
全く違うアーティストの曲が順番に流れるということで、音圧を上げて他のアーティストより目立つという音圧の上げ合いが始まりました。
音圧が高いというだけで「またこの曲が流れた!」と一般の方々に強い印象を与えることができました。
それは全世界でも音圧の上げ合いがエスカレートして「音圧戦争(ラウドネス・ウォー)」という戦いが勃発しました。
この頃は音圧をCDの上げられるいっぱいにベッタリ天井に当たって圧縮された音楽が出回っていました。この音圧の張り合いの時代に活動していた「Oasis(オアシス)」や「Red Hot Chili Peppers(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)」が音圧戦争の犠牲者と呼ばれています。
現代では音圧というよりダイナミクスがしっかり感じられるマスタリングの傾向にありますが、それでもまだジャンルによっては音圧戦争は終息していないように思えます。
おすすめマキシマイザー
マキシマイザーは各メーカーからたくさん出ています。
特徴や性能の良さもそれぞれですが、最終マスタリングで重要な役割をするので、妥協することなく良いものを選びたいです。
<L2 Ultramaximizer>(waves)
音圧ブームの背中を確実に押したマキシマイザー。
簡単操作で音の破綻が少なめで音圧をガッツリ上げることができる。
<L3-16>(waves)
wavesの「Lシリーズ」現在最高品質のマキシマイザー。
マルチバンドでとても綺麗に音圧を上げてくれる。
<Pro-L2>(FabFilter)
とてもクリアで音の破綻が少ない人気のマキシマイザー。
時間軸の波形で確認できてわかりやすく動きも繊細です。
<Ozone 9>(iZotope)
マスタリング専用のオールインワン・プラグイン。
中に入っているマキシマイザーが優秀でとても評判が良いです。
<Invisible Limiter G2>(A.O.M.)
おすすめマキシマイザーに必ず入ってくる、とても人気のマキシマイザー。
クリアなサウンドでプロも愛用のプラグイン。
<Weiss MM-1>(Softube)
高品質のプラグインが多く人気のある「Softube」のマキシマイザー。
ダイナミクスを保ちながら音圧を上げてくれる頼れるプラグイン。
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