「宅録」音響専門学校で勉強した音楽用語156
宅録(Home Recording)
レコーディングスタジオではなく、自宅にレコーディング環境を作り、録音することをいいます。
自宅で録音を略して宅録といいます。
オープンリールを使った楽器を重ねていくレコーディングは、スタジオのような大きなところにしかありませんでした。
レコーディング機材の進化と、リーズナブルな価格変化によって個人でもレコーディングができる環境を自宅に作れるようになり、宅録という言葉が生まれました。
DTMも自宅で作業すると、それは宅録になります。
しかし、現代はそういった人のことを「DTMer」(ディーティーエマー)と呼びます。
パソコンでのDTMはどんどん普及して、今では自宅でプロの作品も作られます。
宅録の進化
昔は楽曲の録音をして曲を作ろうとすると、レコーディングスタジオじゃないと録音できませんでした。
ラジカセで弾き語りの曲を録音する程度のことしか自宅ではできませんでした。
カセットMTR(マルチトラックレコーダー)が80年代頃から出始めて、自宅でも多重録音ができるようになり、簡易的なレコーディングができるようになりました。
「TEAC 244」というコンパクトなカセットMTRが流行しましたが、当時は20万円近い高額だったため、本格的に音楽をやっているミュージシャンなどが活用していました。
徐々に価格もリーズナブルになっていき、ハードもデジタルに変わっていく中で、90年代には「宅録ブーム」になり、現在のパソコンを使ったDTMでの宅録スタイルができてきました。
MTRの種類
<オープンリールMTR>
スタジオで録音される大きなオープンリール式のレコーディング機材。
幅の広いアナログテープにトラックを分けて多重録音ができます。
60年代の初期のものは4トラックしかありませんでした。
トラックの数は増えていきますが、ノイズや機材への負担が大きくなるため24トラックが標準になっています。
<カセットMTR>
カセットテープを使ったコンパクトなMTR。
初期のものは1979年に発表されて、80年代に流行しました。
8トラックのものもありましたが、一般的にはカセットテープの構造を利用した4トラックレコーダーです。
ピンポン録音を駆使してたくさんの楽器を重ねてレコーディングしていました。
<MD MTR>
カセットテープからMD(ミニディスク)に変わっていく90年代に登場した、MDを使ったMTR。
使い方などはほとんどカセットMTRと変わりませんが、アナログからデジタルに変わった瞬間です。
4トラック埋まった状態からピンポン録音ができたり、小節のムーブ(移動)ができたり、ちょっとずつデジタルな要素が入っています。
しかし、ハードディスクのMTRの勢いに埋もれて、活躍する期間は短かったです。
<ハードディスクMTR>
記録媒体をHDD(ハードディスク)にしたMTR。
ここから本格的にデジタルMTRになり、トラック数も約8〜24のものが主流となりました。
エフェクターもたくさん内蔵されているものも多く、数値を打ち込み編集もできて、コンパクトにデジタルレコーディングができる機材です。
DTMでの宅録が主流の現在でも、スタジオに持って行きバンド録音用、ドラム録音用として使うミュージシャン、エンジニアも多いです。
そして、DTMへ
そして、現在はパソコンを使ったDTMで宅録をするDTMerがすごく増えています。
ネット時代で作ったものをすぐにアップしたり、データのやり取りもメールかクラウド上でスムーズにできるため、DTMの需要は計り知れません。
ヘッドホンのみでDTM作業をする人もたくさんいて、そうなると環境など関係なくどこでも作業ができてしまいます。
機材、スピーカー、吸音環境を整えれば、プロレベルの作品も作れます。
アナログの良さ、デジタルの良さはそれぞれありますが、圧倒的な便利さを誇るデジタル環境への進化はすごいものがあります。
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