「クリッピング」音響専門学校で勉強した音楽用語109
クリッピング(Clipping)
音の信号が機材のピークを越えたときのことをいいます。
作業中では「クリップする」という使い方をよくします。
クリッピングには「切り取る」などの意味がありますが、まさしくクリップした波形を見ると、ピークに達したラインでスパッと切り取られた形になります。
クリッピングを起こすと「バリッ」とか「パチッ」という音割れを起こしてしまいます。
これを「クリップノイズ」といいます。
DTMではクリップノイズを出すことはタブーとされています。
たくさん音数が増えるとトラックの管理が大変ですが、各トラックがクリップしていないか注意が必要です。
クリップさせないために
クリッピングしてしまう原因はいくつかあります。
<入力の時点でクリッピング>
とりあえず、DAWに取り込むときにクリッピング状態になってしまっては取り返しがつきません。
その状態で取り込むと波形がバッサリ切れた状態になってしまいます。
それは避けないと後で元には戻りません。
リアルタイムで生楽器を録音するときは、オーディオインターフェイスの入力信号がピークに来ていないか、そこは確実にチェックが必要です。
<DAW内でクリッピング>
DAW内で音量設定を間違えてもクリッピングは起きてしまいます。
レバルメーターの上に赤いランプがついてしまうと、クリッピングしているという合図です。
音のレベル設定は人によって変わりますが、そのトラックの最大音量を「-6dB」あたりに設定して音が呼吸のできる、ヘッドルームを作ってあげることが大切です。
<周波数帯域でクリッピング>
音の渋滞でもクリッピングは発生します。
低音が重なるとレベルがすぐに上がってしまいます。
人の耳に聞こえない超低音域など、気づかないところでクリップランプが点灯しているときがあります。
クリップノイズ
DTMのようにデジタルで音を管理する場合はクリッピングを起こすと、歪んだ壊れた音になってきます。
この音をクリップノイズといいます。
木箱の中に荷物を詰め込みすぎて「パキッパキッ」といっている感じです。
楽曲に混ざって聴いていても、クリッピングした音が入っていると分かってしまいます。
このデジタル音のクリッピングは避けなければいけません。
逆にアナログ機材には、レベルがピークを越えて歪み始めると、倍音成分が出てきて心地よい暖かい歪み音になる機材もあります。
これをサチュレーション効果ともいいますが、その効果を使ったプラグインやマキシマイザーなどを使って、デジタルクリッピングを避けながら、心地よい音圧を上げられるとベストです。
32bit floatとは?
DAWの中にはビットデプスの設定で「32bit float」(32ビット浮動小数点数)というのがあります。
これは単純に16ビット、24ビットより音を高音質で作業できるというわけではありません。
24ビットでの作業の中でクリップしてしまったトラックがあるとき、32bit floatで作業していると、クリップした箇所のさらに上の音量もしっかり記録された状態になっています。
常に32ビットで内部処理されながら作業されているということです。
その分PCに負担はありますがとても安心して作業ができます。
32ビットでは音割れがすることはないと言われています。
もしクリッピングしていたら、録音時の入力信号の時点でオーディオインターフェイスの入力信号の上限を越えてクリッピングしたと考えられます。
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