「レコーディング」音響専門学校で勉強した音楽用語86
レコーディング(Recording)
音を記録するとをいいます。
ラジオなどで音声を記録ことも、レコーディングといいますが、レコーディングというと楽曲をスタジオで録音することを皆さん想像すると思います。
100年以上前にエジソンが蓄音機を発明してから時は流れ、音楽を家庭で楽しむためにレコーディングスタジオでミュージシャンがレコーディングする。
その長いレコーディングの歴史が今現在、パソコンでDTMとして家でレコーディングができてしまう世の中になっています。
ちゃんとしたレコーディングスタジオでレコーディングしようと思ったら莫大な費用がかかってしまいますが、DTMに役立つ経験をとても得ることができます。
レコーディングスタジオ
レコーディングスタジオは幾つかのブースに分かれています。
それぞれの音が被らないように録音ができるようになっています。
<メインルーム>
一番広い部屋。
ドラムセットをマイク録りしたり、ストリングスやブラスなど大人数のセクションを録音したり、部屋鳴りで臨場感のあるものを録音したい時に使います。
バンドの一発録りなども、みんなでこの部屋で録音します。
<コントロールルーム>
ミキサーが置いてある、音をコントロールする部屋。
ミックスの確認なども行うので、エンジニア、プロデューサー、マニピュレーター、ミュージシャンなど全員が集まる広めの部屋です。
<アンプブース>
アンプを入れてマイク録りをする部屋。
メインルームに音が漏(も)れてドラムのマイクに被らないようにする。
演奏者本人もアンプと一緒に閉じこもって弾く場合もあります。
<ピアノブース>
大きなレコーディングスタジオにはグランドピアノが置いてあり、ピアノ専用のブースも用意されています。
<ボーカルブース>
ボーカルを録音する狭い部屋。
できるだけデットな音になるように、せまく吸音の処理がされています。
<マシンルーム>
ファンノイズなど、ミキシングの邪魔になるので作動ノイズが出るものはここに集められます。
レコーディング現場で働く人々
今までたくさんレコーディングしてきた経験から現場にいた方々の紹介をします。
レコーディングの現場にはたくさんの人がいました。
「レコード会社の人」「事務所の人」そして、それぞれの専門職の人がいました。
<エンジニア>
レコーディングの音をミキサー(卓)ですべて操る中心的な人。
「音を録る」「音を調整する」この2つを、たくさんの機材と知識でコントロールしてくれます。
ミックス(トラックダウン)をして、2mixまで作ってくれます。
エンジニアアシスタント
エンジニアさんはやることがたくさんあります。
マイクのセッティングをしながら音のチェックをしたり、録音後の音を調整しながら「再生」「停止」「巻き戻し」など、とても一人でこなすのは大変です。
常にエンジニアさんの指示で動いています。
オペの医師と助手のような関係です。
<プロデューサー>
レコーディングのコンセプト、音造り、OKテイクなど作品の全てに関わってくる人。
アーティストにとても近く、メンバーではないリーダーといったところです。
<ディレクター>
レコーディング全体の進行やOKテイクなど、監督の位置の人。
CDをリリースするという目的でのレコーディングであれば、必然的にレコード会社の人がディレクションをとります。
<マニピュレーター>
電子楽器の音作り、プログラミングをする人。
専門知識がかなりある人で、プロデューサーに「こんな音を入れたい」と言われるとその場でいろんなアイデアを出してくれます。
<アレンジャー>
楽曲のフレーズや全体の展開など、アイデアを出してくれる人。
特にストリングスやブラスなどのアレンジは専門的な知識が必要です。
レコーディングの前の段階でメンバーとイメージを固めていきます。
<サウンドアドバイザー>
ギター、ベースの音作りとフレーズのアドバイスをしてくれる人。
各パートの専門の人なので、マンツーマンでアドバイスをくれます。
そのパートの録音の時は付きっきりで指示をします。
<ローディー>
アーティストの補佐を徹底的にする人。
セッティングはもちろん、チューニングまでする人もいます。
<レコード会社のスタッフ>
主にレコーディングに関してのスケジュールを管理してくれます。
レコーディングに関しての発注や必要なものがあれば、レコード会社のスタッフが協力してくれます。
<事務所のスタッフ>
主にアーティストに関してのスケジュールを管理してくれます。
アーティストのマネージメントをしてくれます。
<アーティスト>
作品の顔となるメンバー。
すべてはこの人たちの作品を、より良い状態でたくさんの人に聴いてもらうために作るレコーディングです。
こんなにたくさんの人がレコーディングに関わり、作品が出来上がります。
この役割を理解するとDTMにも役立ちます。
レコーディングの準備
一般的なバンドもののレコーディングの流れを紹介します。
<ドラム>
「キック」「スネア」「ハイハット」「オーバーヘッド」「アンビアンス」など、それぞれマイクをたくさん立てて録音します。
<ベース&ギター>
音が被らないようにはアンプをマイク録りします。
ライン録りも同時にしてベースはラインの音と混ぜて音作りをしたりします。
ギターはラインの音を使ってリアンプする場合もあります。
<キーボード>
ラインの音とMIDIデータを同時に収録できるよう設定します。
MIDIデータでのトラックを採用する場合は細かい演奏のニュアンスも、後ほど調整できます。
<ボーカル>
ガイドのため、みんなの最初の演奏に合わせて歌います。
このタイミングでは本番の歌は録りません。
「仮歌」を録って、その曲のオーバーダビングする時のガイドを作ります。
それぞれパートの録音後の音をキューボックスという出力機材から、ヘッドホンで演奏者はリアルタイムで聴きながら演奏します。
キューボックスはそれぞれ振り分けてあり、演奏者それぞれがやりやすいボリューム調整をして録音に挑みます。
レコーディングの流れ
まずはそれぞれのブースに分かれて、基本的に一斉(いっせい)にクリックに合わせて曲を演奏します。
①リズム隊
ドラムとベースの演奏の「OKテイク」を録ることを優先しながら全員で演奏します。
ドラムの微調整をしつつOKテイクを作ったら、ベースもドラムに合わせてOKテイクを作っていきます。
②上物系
リズム隊が固まったら、ギターのベーシックのバッキングを録り、フレーズやソロ、キーボードのバッキングや効果音などを重ねていきます。
この作業をオーバーダビングといいます。
③ボーカル
伴奏がほぼ出来上がったら、いよいよ歌録りです。
人によりけりですが、だいたい6〜10テイクくらい録音して、気に入ったテイクを軸に組み合わせていきます。
最近は修正ソフトも進化しているので、気に入ったテイクが録れてしまえば、あとは予備程度でも大丈夫です。
④コーラス
ボーカルの調整が終わったらそれに合わせてコーラスをとっていきます。
コーラスは何テイクも録るやり方じゃなく、メインのボーカルに合うものを、そのブロックごとに録っていきます。
⑤最終調整
ここまできたらあとは、録り忘れたものや入れたくなってきた音などを調整していきます。
⑥ミックス
エンジニアさんが「これでもうミックスしても大丈夫ですか?」というところまできたら、あとはエンジニアさんに完成の要望を伝えてミックスダウンをしてもらいます。
ミックス後みんなで確認して、調整して、2mixの完成です。
⑦マスタリング
ミックス後の2mixをマスタリングエンジニアさんにマスタリングをお願いして、みんなで確認して完パケの音源の完成です。