「エフェクター」音響専門学校で勉強した音楽用語157
エフェクター(Effector)
楽器の音を加工して変化させる機材のことをいいます。
エフェクトといえば、音だけではなく画像や映像で効果を加える時にも使う用語です。
クリエイティブな作品を作るには、とても重要になる機材・効果です。
キーボードやシンセにはエフェクト機能が搭載されていることが多いのですが、ギターは本体とアンプの間にエフェクターをつないで音に効果を加えます。
ラックタイプのものや、足元に置くストンプタイプがあります。
エフェクターの種類もたくさんあり、初心者の人は効果の違いを覚えるのに相当な時間がかかると思います。
エフェクターの種類
エフェクターはいろんな種類に分けられます。
そして、そこから特徴によってまた分けられていきます。
更にいうと、そのエフェクターのパラメーターも、役割をだいたい覚えていかなければなりません。
まずは系統にどんなものがあるかを把握(はあく)すると良いと思います。
歪み系
<オーバードライブ>
入力信号を増幅させて音を歪ませた、芯のある歪み。
<ディストーション>
ダイオードでクリッピングさせて歪ませた、オーバードライブよりも歪みの強い効果。
<ファズ>
アンプが壊れたような、倍音を多く含んだ荒々しい歪み。
空間系(残響音、反復音)
<ディレイ/エコー>
反復音を減衰させて、やまびこのような効果を作る。
<リバーブ>
部屋の残響音のような効果を作る。
レベル調整系
<コンプレッサー/リミッター>
大きい音を圧縮して、全体の音の粒を揃えて音圧を上げる。
<ボリュームペダル>
音量の大きさをコントロールできるペダル。
周波数調整系
<イコライザー(EQ)>
狙った周波数帯域の調整ができる。
<フィルター>
狙った周波数帯域をカットする。
<ディエッサー>
高域の狙った周波数帯域をダイナミクスで抑える。
<ワウ>
強調したい周波数のフリケンシーを動かす。
倍音調整系
<エンハンサー/エキサイター>
原音から倍音を作り出して、音に厚みをつける。
<サチュレーター>
歪みを作り、倍音を加えて暖かな音にする。
モジュレーション系
<コーラス>
原音をずらし、遅延と位相によって音に厚みやきらびやかさを作る。
<フランジャー>
コーラスの原理で大きく音を揺らすことができる。
<フェイザー>
周波数の異なる位相を干渉させてうねりを作る。
<トレモロ>
一定のリズムで音量を変化させる。
ピッチ系
<オクターバー>
オクターブの音を重ねる。
<ピッチシフター>
ピッチを変える。
<ワーミーペダル>
ピッチを自由に変化させるペダル。
<リングモジュレーター>
ベクトルの違う2つの周波数の音を掛け合わせ、ベルのような不思議な音を作る。
ノイズ除去系
<ノイズゲート/ノイズサプレッサー>
入ってくる小さなノイズ信号をカットする。
<ノイズリダクション>
狙った周波数のノイズをカットする。
劣化系
<ローファイ>
レンジを狭くしたり、歪ませたりして古い音に変える。
<ビットクラッシャー>
音の解像度を下げて、壊れかけた音を作る。
上記の系統分けは違った解釈やダブった系統のものもあるかもしれませんが、あくまでも参考までに分けてみました。
サチュレーターは歪み系の方がイメージに近いかもしれませんし、ワウもオートワウになるとモジュレーション系になるかしれません。
モジュレーション系を空間系という人もいます。
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「宅録」音響専門学校で勉強した音楽用語156
宅録(Home Recording)
レコーディングスタジオではなく、自宅にレコーディング環境を作り、録音することをいいます。
自宅で録音を略して宅録といいます。
オープンリールを使った楽器を重ねていくレコーディングは、スタジオのような大きなところにしかありませんでした。
レコーディング機材の進化と、リーズナブルな価格変化によって個人でもレコーディングができる環境を自宅に作れるようになり、宅録という言葉が生まれました。
DTMも自宅で作業すると、それは宅録になります。
しかし、現代はそういった人のことを「DTMer」(ディーティーエマー)と呼びます。
パソコンでのDTMはどんどん普及して、今では自宅でプロの作品も作られます。
宅録の進化
昔は楽曲の録音をして曲を作ろうとすると、レコーディングスタジオじゃないと録音できませんでした。
ラジカセで弾き語りの曲を録音する程度のことしか自宅ではできませんでした。
カセットMTR(マルチトラックレコーダー)が80年代頃から出始めて、自宅でも多重録音ができるようになり、簡易的なレコーディングができるようになりました。
「TEAC 244」というコンパクトなカセットMTRが流行しましたが、当時は20万円近い高額だったため、本格的に音楽をやっているミュージシャンなどが活用していました。
徐々に価格もリーズナブルになっていき、ハードもデジタルに変わっていく中で、90年代には「宅録ブーム」になり、現在のパソコンを使ったDTMでの宅録スタイルができてきました。
MTRの種類
<オープンリールMTR>
スタジオで録音される大きなオープンリール式のレコーディング機材。
幅の広いアナログテープにトラックを分けて多重録音ができます。
60年代の初期のものは4トラックしかありませんでした。
トラックの数は増えていきますが、ノイズや機材への負担が大きくなるため24トラックが標準になっています。
<カセットMTR>
カセットテープを使ったコンパクトなMTR。
初期のものは1979年に発表されて、80年代に流行しました。
8トラックのものもありましたが、一般的にはカセットテープの構造を利用した4トラックレコーダーです。
ピンポン録音を駆使してたくさんの楽器を重ねてレコーディングしていました。
<MD MTR>
カセットテープからMD(ミニディスク)に変わっていく90年代に登場した、MDを使ったMTR。
使い方などはほとんどカセットMTRと変わりませんが、アナログからデジタルに変わった瞬間です。
4トラック埋まった状態からピンポン録音ができたり、小節のムーブ(移動)ができたり、ちょっとずつデジタルな要素が入っています。
しかし、ハードディスクのMTRの勢いに埋もれて、活躍する期間は短かったです。
<ハードディスクMTR>
記録媒体をHDD(ハードディスク)にしたMTR。
ここから本格的にデジタルMTRになり、トラック数も約8〜24のものが主流となりました。
エフェクターもたくさん内蔵されているものも多く、数値を打ち込み編集もできて、コンパクトにデジタルレコーディングができる機材です。
DTMでの宅録が主流の現在でも、スタジオに持って行きバンド録音用、ドラム録音用として使うミュージシャン、エンジニアも多いです。
そして、DTMへ
そして、現在はパソコンを使ったDTMで宅録をするDTMerがすごく増えています。
ネット時代で作ったものをすぐにアップしたり、データのやり取りもメールかクラウド上でスムーズにできるため、DTMの需要は計り知れません。
ヘッドホンのみでDTM作業をする人もたくさんいて、そうなると環境など関係なくどこでも作業ができてしまいます。
機材、スピーカー、吸音環境を整えれば、プロレベルの作品も作れます。
アナログの良さ、デジタルの良さはそれぞれありますが、圧倒的な便利さを誇るデジタル環境への進化はすごいものがあります。
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『宅録』について、もっと詳しく知りたい方はこちら 音楽用語インデックス | 言葉と音 マサツムDTMブログ
「アンプラグド」音響専門学校で勉強した音楽用語155
アンプラグド(Unplugged)
電気の使わない楽器を使って演奏することをいいます。
「プラグを使わない」の直訳で「プラグレス」という意味です。
よく使われる言葉で言うと「アコースティック生演奏」です。
ドラム、ウッドベース、ピアノ、アコースティックギターなどがこの演奏の楽器にあたります。
大きな会場では音を拾うのにマイクを立てたり、ピックアップを付けたりして音量を大きくしますが、これもアコースティックライブと呼ばれます。
弾き語り
弾き語りというとアコースティックギターを弾きながら歌を歌うスタイルが思い浮かぶと思います。
アコースティックギターさえあれば、マイクがなくても周りの人に歌を聴かせることができます。
ピアノの弾き語りも、そこにピアノがあればそのまま周りの人に歌を聴かせることができます。
弾き語りは気軽に歌を伝えられるとても良い手法です。
路上で弾き語りを表現する若者たちもいれば、現在ではネットで弾き語り動画を配信する人も多いですが、弾き語りを大切にするところの基本は変わっていないんだと思います。
日本の音楽史では、70年代にフォークソングブームがあり、フォークギターを使って弾き語り、80、90年代にはシンガーソングライターが増えて、ピアノで弾き語りをする人もたくさんいました。
現在はギターで弾き語りをする女性アーティストがとても増えています。
どの時代でも歌をストレートに伝えられるアンプラグドの演奏は、ミュージシャンもとても好んで演奏をしています。
MTVアンプラグド
90年代あたりから、アンプラグドの演奏を披露する「MYVアンプラグド」という番組が人気がありました。
「エリック・クラプトン」「ポール・マッカートニー」「ニルバーナ」「オアシス」など、超大物アーティストが参加していて、普段のバンドサウンドからは想像できないアンプラグドの演奏を披露して話題になることもありました。
日本人、アジア人ではレギュラー放送で唯一「CHAGE and ASKA」が出演しました。
その後、日本制作版として「宇多田ヒカル」「布袋寅泰」「平井堅」など、一流アーティストが参加してきました。
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『アンプラグド』について、もっと詳しく知りたい方はこちら
「パンニング」音響専門学校で勉強した音楽用語154
パンニング(Panning)
ステレオの音源の中で音を右と左に配置、または変化させることをいいます。
一般的にはPAN(パン)と略され、日本語では「定位」といいます。
左右のスピーカーの音量を反比例に変化させることによって、右から聞こえたり、左から聞こえたり、真ん中から聞こえたりと、変えることができます。
楽曲の中で各楽器の音を左右いっぱいに並べることによって、曲に広がりを与えることができます。
そしてたくさんの楽器一つ一つが聴こえやすくなります。
パンニングはステレオ音源によってできることで、モノラル音源にはパンニングはありません。
DAWでのPAN設定
ミキサーには音を調整するフェーダーやつまみがたくさんあります。
「音量を調整するフェーダー」
「入力信号を調整するゲインのつまみ」
「音質を調整するEQのつまみ」
「センドでかけるエフェクトのつまみ」
「PANを調整するつまみ」
などが付いています。
LRに振れ調整できるこのつまみを「パンポット」といいます。
12時をセンターに、Rをいっぱいに5時あたりまで、Lをいっぱいに7時あたりまで回すことができます。
「PANを3時あたりに」「PANを10時あたりに」のように時間で伝えあったりします。
ミックスには必須のパンニング
ミックスする際は各楽器がかぶらないようにうまくバランスを取り、パンニングをフルに使います。
特に歌とかぶる帯域の楽器は左右に振って、センターに歌の空間を作らないといけません。
ドラム一つの楽器においても各パーツでドラムセットの配置が伝わるようなパンニングが必要です。
ほかにもギターは位相を使って思いっきり左右に振って広がりをつけたり、ミックスで良いバランスを作るには、PANを駆使しなくてはなりません。
パンニングのプラグイン
DAWのミキサーエディットにもパンポットはもちろんあります。
それなのにわざわざパンニングのプラグインなんて必要ないんじゃないかと思う人はたくさんいると思いますが、プラグインでのパンニングはとてもおすすめします。
パンニング用のプラグインでは単純に音を左右に振るのではなく、ステレオイメージ(音像)を使って広がりのある、厚みのあるパンニングが可能になります。
高い周波数だけ右にしたり、位相を使ってR100以上のところから聴こえるような設定もできます。
ほかにもオートでパンニングを動かせたり、パンニングによるクリッピングを防ぐ機能だったり、ここまではミキサーのパンニングではできません。
<PanMan>(SoundToys)
空間系のエフェクトなど、とても面白く使いやすいプラグインが揃っている「SoundToys」のプラグイン。
いろんな機能が付いていて、パンニングプラグインが欲しかったら間違いないです。
<Pan Konb>(Boz Digital Labs)
シンプルで扱いやすく、コスパ最高。
とりあえずパンニングプラグインが欲しかったら損はないです。
<Cyclic Panner>(A.O.M.)
とても高品質なプラグインを作る「A.O.M.」のパンニング用プラグイン。
こちらもシンプルでわかりやすいです。
<MondoMod>(waves)
上記のようなパンニング専用といった感じのプラグインではないですが、LFOの特性を使って周波数や音量、パンニングを変化させることのできるプラグインです。
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「ノイズゲート」音響専門学校で勉強した音楽用語153
ノイズゲート(Noise Gate)
音の入力信号をコントロールして、小さなノイズ信号をカットするエフェクターのことをいいます。
ノイズを除去するエフェクターには「ノイズゲート」「ノイズサプレッサー」「ノイズリダクション」などがあります。
電気回路を使って音を出す楽器には、昔からノイズはつきものです。
接続の状態からノイズ対策をする必要はありますが、どうしても乗ってしまうノイズにはこういったエフェクターで除去をしていきます。
ノイズゲートはノイズを消すための専用エフェクターですが、使い方によっては面白い音作りもできます。
ノイズゲートの主なパラメーター
ノイズゲートは設定によって不自然になったり、良い音を台無しにしてしまう場合があります。
さまざまなタイプの音に対する適切な設定ができるように、それぞれのパラメーターの役割を知る必要があります。
基本的に共通しているパラメーターは以下になります。
<スレッショルド>
どの音量でゲートをかけるかを設定する値。
設定した数値より下回ると音信号をカットします。
<アタック>
スレッショルド以上になった時に音を出す反応の速さ。
ここをうまく設定して不自然にならないようにします。
<リリース>
リリースはアタックとは逆で、スレッショルド以下になった時に音を減衰していく速さ。
ここの設定も自然に作り上げるポイントになります。
ノイズ除去エフェクターの種類
ノイズを取り除くエフェクターといえば「ノイズゲート」が思いつきますが、少しの機能の違いで実は種類が変わってきます。
ノイズゲートとノイズサプレッサーは呼び方は違いますが、それぞれ設定によって同じような効果を作ることはできるので、同じエフェクターの扱いをされます。
<ノイズゲート>
ゲートとは「門」という意味なので、設定されたスレッショルド以上にならないと音を通さないという仕組みになっています。
これによって小さなノイズをカットすることができます。
<ノイズサプレッサー>
サプレッサーとは「抑制する」という意味なので、入ってきた小さな音を抑えていくという仕組みになっています。
ノイズゲートより自然なノイズの消え方になります。
<ノイズリダクション>
狙ったノイズを入力信号とは関係なくカットする仕組みになっています。
いらないノイズを取れる一方で、ノイズではない音までカットしてしまうので、上手な設定が必要です。
ゲートリバーブ
ノイズゲートの機能を利用した「ゲートリバーブ」という音色があります。
リバーブの余韻を強引にカットする手法で、特に80年代ドラムに「ゲートリバーブ」かけるサウンドが流行しました。
それ以来、雰囲気を作るのに定番のリバーブ音色になっています。
ノイズゲートとエキスパンダーとの違い
ノイズゲートと同じ仕組みの「エキスパンダー」というエフェクターもあります。
単純にゲートともいわれます。
機能はノイズゲート同じですが、こちらのエフェクターは小さな音をカットして音のダイナミクスを広げ、持ち上げるような使い方をします。
ほかにも、余韻をカットして音をタイトにしたり、そういった用途にも使用します。
同じ仕組みでもノイズをカットしたい目的のエフェクターがノイズゲートと呼ばれます。
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「フィードバック」音響専門学校で勉強した音楽用語152
フィードバック(Feedback)
出力の高いアンプにギターを近づけると、共鳴あるいはハウリングが起きる現象のことをいいます。
フィードバックが起き始めると、徐々に「キーン」や「ヒーン」というような音が発生して、ロックではライブ感のある演出としてよく使われる効果音です。
ピックアップがハウリングを起こしてフィードバックする形もあります。
マイクをスピーカーに向けると「ヒーンヒーン」と耳が痛い音が鳴るように、ギターもノイズとともにハウリングを起こします。
ギターを弾く直前にフィードバックを起こしてから歪んだギターをかき鳴らしたり、ロングトーンのフレーズで音を伸ばしている時にだんだんフィードバックが始まったり、ギターリストにはたまらない演出です。
この効果をアレンジに入れたい時はたくさんありますが、DTMでフィードバックの音を録音するには、かなりアンプを大きな音で出せるスタジオじゃないと、家での録音はなかなかできる音量ではありません。
宅録では素材を使うかエフェクターなど機材を使って、それっぽくするという方法で作ります。
フィードバックで遊ぶジミヘン
ジミヘン(ジミ・ヘンドリックス)といえば、ギターの神様と呼ばれていますが、やはりライブパフォーマンスにインパクトがあり、長きにわたり現在でも絶大な支持を得ています。
ジミヘンのギターパフォーマンスは、フィードバックが始まると止まりません。
完全に音を操って遊んでいます。
弦を共鳴させる道具「E-BOW」
弦をピッキングして音を出すのではなく、電気で振動を起こして音を出すことのできる「E-BOW」というアクセサリーがあります。
ホッチキスのような形をした道具で弦に近づけると、弦が共鳴を始め音が出ます。
歪んだ音色のギターに近づけると、フィードバックのような効果を得ることができます。
スタンド型になっているものもあり、右手を使わずに近ついて効果を作ることができます。
バイオリンの弦に振動を与えて音を出す弓のことを「ボウ」といいます。
エレクトリックのボウを略してE-BOWという名前が付けられました。
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「メロトロン」音響専門学校で勉強した音楽用語151
メロトロン(Mellotron)
磁気テープを使ってサンプルされた音を再生する鍵盤楽器のことをいいます。
初代のものは鍵盤数が35鍵で、鍵盤ひとつひとつに磁気テープが付いていて、アナログ方式の再生でサンプルされたフルートのような音が、鍵盤を押すことによっての音が鳴る仕組みです。
35音階の音がサンプルされていて、世界初のサンプラー楽器ともいわれています。
1960年代に作られた楽器で、プログレッシブロックにも積極的に使用されていました。
この時代のロックが好きな人には、憧れの楽器です。
メロトロンの音が出る仕組み
メロトロンはとてもアナログな仕組みで音が出ます。
鍵盤を押すとローラーと再生ヘッドが磁気テープに押し付けて音が出ます。
鍵盤を離すとバネによってテープが戻されて元に戻るという仕組みです。
鍵盤を押しっぱなしにすると、約8秒で音が止まります。
テープがその分しかないので長く音を伸ばすことができません。
構造からして、すごく早い演奏は不向きです。
そして、テープで不安定な部分があり、音が少しよれてしまいます。
鍵盤を強く押すと、再生ヘッドが押し付けられて音色が少し変わるという、アフタータッチのような効果まであるそうです。
この「長い音が出ない」「ゆったりした演奏」「音がよれる」というのが逆に良い味になってたくさんの名曲を生んできました。
メロトロンを使った名曲
『Strawberry Fields Forever』The Beatles
メロトロンの音色を聴いて真っ先に思い浮かべるのが、ビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」だと思います。
メロトロンの音色が鳴るとこのイントロフレーズを弾きたくなります。
『Stairway To Heaven』Led Zeppelin
こちらも誰でも聴いたことのある名曲、レッド・ツェッペリンの「天国への階段」。
音色だけで寂しさが増していきます。
『The Court of the Crimson King』(Album)King Crimson
プログレの金字塔のキングクリムゾンのファーストアルバム。
メロトロンを存分に使った、メロトロンといえば外すことのできないアルバム。
『Foxtrot』(Album)Genesis
フィル・コリンズが率いるプログレッシブロックバンド、ジェネシスの4枚目のアルバム。
アルバム冒頭からメロトロンで雰囲気を作り、アルバムの中でもメロトロンを使った楽曲が収録されています。
現代のメロトロン
<デジタル・メロトロン>
現在当時のものを手に入れるのはむずかしいですが、音源をデジタルで再現したデジタル・メロトロンという機材があります。
<メロトロン・ソフト音源>
DTMでメロトロンを扱いたい人にはソフト音源もあります。
<メロトロン風・エフェクター>
メロトロンの音作りができるエフェクターもあります。
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