「海苔波形」音響専門学校で勉強した音楽用語70
海苔波形(laver waveform)
2mixのデータでリミットをかけて出来る、海苔のような長方形の波形のことをいいます。
スローテンポの曲や、音数の少ない楽曲では海苔波形を求めませんが、テンポ感もあって音圧を出したい楽曲はこの海苔波形に近づけるのが理想の2mixになります。
音圧を上げてダイナミクスのある海苔波形を作るのが理想ですが、ただ単にマキシマイザーで音圧あげれば良いということではありません。
ダイナミクスが消えてしまった海苔波形は、ただ単に音が詰まってうるさいだけです。
ジャンルによって海苔波形を嫌うエンジニアさんもたくさんいます。
ダイナミクス優先の楽曲には当然です。
しかし、ギターロックやシンセダンスミュージックなど、ジャンルによってはいまだに「音圧戦争」は終わっていません。
この手のジャンルのCDのデータは音圧をいっぱいいっぱいに上げているものが多いので、波形で見ると海苔波形をになっているものが多いです。
2mixを作るとギザギザのあるステレオの波形ができます。
2mixとは、最終的にスピーカーから出るL(左)とR(右)の2つの音データです。
ダイナミクスもをしっかり聴かせるためには、ある程度ギザギザのある波形になります。
しかし、リミッティングをかけて目一杯音圧を上げるとギザギザの少ない波形ができます。
これが『海苔波形』です。
ブレイクの時などに隙間(すきま)ができますが、その他はベッタリ天井に当たった波形になります。
そんな海苔波形でもの時間軸をアップにしてみると、ちゃんとギザギザになっています。
一本一本が太くしっかりとしたギザギザになっています。
「音量の最大値はここまで」と決まっているので音量を上げて小さい音も全体的に持ち上げて、音を圧縮して分厚い2mixを作ります。
良い海苔波形と悪い海苔波形
冒頭にも書きましたが、最終2mixはただ単にマキシマイザーで音圧あげれば良いということではありません。
せっかくのダイナミクスが消えてしまいます。
ダイナミクスとは音の大小で、これがあるから抑揚(よくよう)がつき、表現力が活かされます。
<良い海苔波形>
ちゃんとダイナミクスを感じさせながら、しっかりと音圧も上がっている。
<悪い海苔波形>
ダイナミクスが失われ、天井の音が潰れて全体的に揺れて聴こえる。
精度の良いマキシマイザーは調整具合でダイナミクスを保ちながら音圧が上がってくれますが、元のmixされたデータが音圧を上げにくいデータをマキシマイザーで強引に上げると、「悪い海苔波形」になってしまいます。
「良い海苔波形」を作るには、やはり各トラックの処理が大事になってきます。
これは経験がないとなかなか調整はむずかしいです。
各トラックが良いバランスができて、それらがまとまり2mixの音圧を上げれば、迫力のある「良い海苔波形」を作ることができます。
音圧はマキシマイザーだけに頼るのではなく、曲のバランスを操れるようになるとワンランクアップの2mixに仕上がります。
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