「フランジャー」音響専門学校で勉強した音楽用語117
フランジャー(Flanger)
位相をずらし、音のうねりを作り出すエフェクターのことをいいます。
調整の仕方で、ゆったりしたかかり方をしたり、金属的なかかり方をしたり、インパクトのある使い方ができます。
激しくかけると「ジェットサウンド」というジェット機の音のようなサウンドになり、80年代に使用していたアーティストがたくさんいました。
ホワイトノイズにフランジャーを激しくかけると、本物のジェット機のような音になります。
フランジャーとフェイザーの違い
フランジャーは位相のズレ、遅延を作って音を変化させるためどうしても音痩せしてしまいます。
しかし、独特なコンプ感で世界観を表現することができます。
似たような音が作れるエフェクターに「フェイザー」がありますが、こちらは遅延によるズレではなく、周波数の異なる位相を干渉(かんしょう)させてうねりの作るので、しくみが違います。
カッティングなど、歯切れの良い演奏はフェイザーの方が向いているかもしれません。
フェイザーの音作りはしくみでいうと、レスリースピーカーのしくみです。
フランジャーの使い方
フランジャーは楽曲に混ざっても、とても耳に入ってくるのでライブでも聴きごたえがあります。
さりげなくかけるだけでも雰囲気を作れて、ギターリストには重宝します。
歪んだサウンドとも相性が良く、世界観のある音作りができます。
上記で書いたように激しくかけて「ジェットサウンド」を作れば、効果音にも使えます。
音作りのパラメーター
メーカーによって呼び方が違いますが、よくあるパラメーターは以下になります。
重要なパラメーターは「Rate」と「Depth」で、ツマミの少ないタイプのものはこの2つだけのものもあります。
Rate(レート)/Speed(スピード)
・揺れの速さを調整
Depth(デプス)/Width(ウィドゥス)
・揺れの深さを調整
Feedback(フィードバック)/Regeneration(リジェネレーション)/Resonance(レゾナンス)
・揺れ方のクセを調整
Manual(マニュアル)
・効果の高さを調整
アナログとデジタル
フランジャーには、BBD(Bucket Brigade Device)素子を使って作り出す、暖かなサウンドの「アナログフランジャー」と、金属的なサウンドを作り出せて、効果音など遊び心のある音まで作れる「デジタルフランジャー」があります。
それぞれ音質が違うので、選ぶ時にどちらのタイプかチェックしてみてください。
人気のフランジャー
<MXR M152 MICRO FLANGER>
シンプルで扱いやすく人気のあるMXRのアナログフランジャーです。
<BOSS Flanger BF-3>
定番のBOSS 「BF-2」の進化版。
スイッチの切り替えで、ジェットサウンドやBF-2のサウンドも作れます。
<ELECTRO-HARMONIX>
歴史が長く愛用している人も多いフランジャーです。
<ADA ADA/Final Phase>
こちらも歴史は長く、ADAのフランジャーはジェットサウンドを作れるフランジャーとして、とても人気があります。
<MXR EVH117 FLANGER>
「ヴァン・ヘイレン」のギタリスト、エドワード・ヴァン・ヘイレンとのコラボのフランジャー。
ボタン一つでジェットサウンドに。
いろんな楽器にも使われるフランジャー
フランジャーはギターで使うことが多い印象ですが、シンセでも音作りの段階でよく使われています。
エレピにもよく使われます。
ローズなど、うねりがとても良い雰囲気を出してくれます。
ベースやドラムもそこまで使用頻度はありませんが、少しスパイス的な要素で使われます。
<ベース>
位相のズレでどうしても音痩せしてしまうので、ソロなど遊びのところで使ったりします。
<ドラム>
うねりはスネアの2拍4拍にランダマイズ感を出し、ハットを揺らして世界観を作るという使い方もできます。
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